【4月5日 Xinhua News】インド中南部のハイデラバードの空港を出ると、電気バス停留所の看板がすぐに目に入る。看板の指す方向に行くと、緑色の車体に大きな「e」の文字が入ったバスが待機している。中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)の電気バス「K9」だ。

 発進、前進、加速― 電気バスが静かに動き始めた。前の座席に座っていたナンディタさんは「電気バスに乗ったのは初めて。これほど音が小さいとは思ってもいなかった」と感嘆の声を上げた。

 飛行機によく乗るというカティヤルさんは、電気バスに乗るのはこれが3回目だという。「まったく新しい体験。乗り心地もよく、環境にもやさしい」。電気バスはインドの大気汚染改善に重要な意義を持つ。「すべてのバスが電気バスになればいい」とカティヤルさんは願っている。

 ハイデラバード市街地から車で2時間近く走ると、BYDインド支社のインド側パートナーの車体工場に着く。1万平方メートルの工場では、車体の溶接、組み立て、カバー部品取り付け、内外装、車体塗装などの生産ラインで工員らが忙しく作業している。

 生産ラインの向かい側には、完成車の検査を行う作業場があった。工場トップのアニル氏は「社員は当初の108人から今では360人に増えた」と語った。インドの4州・5都市で電気バス108台がすでに運行している。手元の受注は400台近くに上った。

 「インドで運行中の電気バスに占めるわれわれのシェアは80%を超える。インド政府は新エネルギー車(NEV)をますます重視するようになっており、受注は今後さらに増えるだろう。より大きな工場棟を建て、さらに多くの社員を募集したい」とアニル氏は語った。

 同工場は昨年6月に完成、稼動した。BYDインド支社生産管理部の担当者の滕鋼(Teng Gang)氏によると、インド側のパートナーは現地で有名な企業だが、バス生産の経験はなく、BYDの支援を受けてのゼロからのスタートとなったという。

 滕氏は生産現場へと入り込んだ最初のBYDの代表。最も単純な工程から、パートナー企業の社員らに一つ一つ丁寧に教えてきた。「現場の工員のほとんどは英語が話せず、電気バスに触れたことのある人もほとんどいなかった。すべてチームリーダーを通じて交流しなければならなかった」と、生産ラインの横に陣取った滕氏は語る。

 品質担当のクマール氏はほほ笑みながら「仲間の滕鋼さんが手取り足取り教えてくれたからこそ、作業効率をこれほどスピーディーに高められた」と語った上、一つのチームとして働くみんなの目標は同じ。「電気バスの品質を高め、ブランドを守り、インドで環境に優しい交通を実現することだ」と付け加えた。(c)Xinhua News/AFPBB News