■生命の指標

 その結果、最も可能性の高い発生源とされたのは、岩石層の下にある凍結したメタンの層だった。この層からメタンガスが周期的に大気中に放出されると研究チームは考えている。

 地球上ではメタンは生命の兆候とされている一方、火星にメタンが存在することが必ずしも火星での生命の兆候を示す証拠となるわけではない。これについてジュランナ氏は、「メタンが重要なのは、微生物の指標である可能性があるからだ」と指摘し、「だが、生命はメタンの検出を説明するのに必須ではない。メタンは非生物的過程によって生成される可能性があるからだ」と説明した。

 その一方で、「メタンは生命存在の直接的な証拠ではないけれども、火星環境での生命存在の可能性を増大させると考えられる。なぜなら、ある種の微生物はメタンを炭素とエネルギーの供給源として利用できる」とも述べている。同氏によると、ゲール・クレーター付近にある凍結メタン層の範囲を決定するためには、さらなる調査を行う必要があるという。

 凍結メタン層が広範囲に及んでいることが確認されれば、そこに含まれるメタンは産業プロセスで必要となる燃料の供給源となる他、有人ミッションを地球に帰還させるためのロケット推進剤としても利用可能となると考えられる。これは火星で「人が持続的に存在することを支えるものとなり得るだろう」とジュランナ氏は指摘した。(c)AFP/Patrick GALEY