【4月4日 Xinhua News】建盞(けんさん)は中国陶磁器の中でも黒磁を代表する磁器で、福建省建窯(けんよう)で焼かれたものを指す。日本では天目茶わんとして知られる。建窯は中国で著名な古窯の一つとされ、遺跡は福建省南平市建陽区水吉(Shuiji)鎮の後井(Houjing)村と池中村にある。宋代には茶の味の飲み分けを競う「闘茶」の風習があり、建盞は当時、闘茶に最適な茶器とされた。

 曜変(ようへん)とは建盞の焼成過程で器の表面に非常に薄い鉄の結晶膜が形成される現象を指す。光を当てると黄色や青、緑、紫などの光彩が表れる。曜変建盞(曜変天目)は技法が途絶えて既に700年余りになるが、建陽区の多くの陶芸家は曜変建盞の再現と技法の解明に生涯をかける。

 呉立主(Wu Lizhu)さんは建盞界の重鎮の一人で、2015年に竜の鱗のような斑点と曜変を持つ建盞2点を偶然に焼き上げた。それ以降も探求を続け、曜変天目の復元に専念している。

 廖設生(Liao Shesheng)さん(53)は、建陽区で最も早く建盞の焼成技術を習得した3人のうちの1人。30年にわたり建盞の研究を飽くことなく続けてきた。条件の許す範囲で新しい建盞の研究を続け、これまで兎毫や油滴などの建盞を生み出してきた。廖さんが作り出す建盞の結晶は粒が大きく、模様もはっきりしており、落ち着いた透明感を持つ。しっかりとした質感があり、釉面も自然に仕上がっている。後継者の育成にも力を入れており、現在はおいの陳玉峰(Chen Yufeng)さんと共に新たな建盞の研究に取り組む。

 呉周福(Wu Zhoufu)さんは、建陽区で第3世代に当たる建窯建盞の代表的継承者。幼い頃から建盞文化の影響を受け、長年にわたり建盞の収集と研究を行ってきた。建盞の磁胎や釉色、斑紋、器形に対する独自の考えを持つ呉さんは「曜変天目は失敗を恐れてはいけない。飽くなき探求こそが成功につがなる」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News