【3月31日 AFP】シンガポールは28日、「ホーカー」として知られる同国の屋台の料理文化を国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の無形文化遺産に登録申請した。自国文化の「保護」が目的だとしているが、同様の屋台料理を有する隣国マレーシアからは異論が巻き起こっている。

 チキンライスや麺料理、串焼きなどを安価に提供する屋台「ホーカー」が多数集まるシンガポールの屋台村は、世界でも広く知られている。そこでシンガポールは昨年、「ホーカー」文化のユネスコ無形文化遺産登録を目指すと発表。登録されれば、日本の和食やベルギーのビールなどに次いで食文化の無形文化遺産の仲間入りをすることになる。

 だが、こうしたシンガポールの動きが、隣国マレーシアの怒りを買うこととなった。シンガポールでみられる屋台料理はマレーシアにもあるし、相対的にマレーシアの屋台料理の方が優れているなどと主張している。

 こうした主張を受け、シンガポール国家遺産委員会(National Heritage Board)のヨウ・カーク・シアン(Yeo Kirk Siang)氏は記者会見で、「ホーカー」文化を正式に無形文化遺産に登録申請したと発表するとともに、申請の目的はシンガポールの屋台料理が他国より「優れている」と示すことではないと強調。「自国の文化的な慣習が(他国より)優れているとか、唯一無二のものだとか、自国が発祥地だなどと証明したいのではない」と述べ、重要なのは、ある国独自の文化的な慣習がその国のコミュニティーによって尊重かつ保護されるという点だと説明した。(c)AFP