【3月29日 AFP】米カリフォルニア州の女性が50年前に離婚した元夫を相手取り、未払いの娘の養育費を請求していた訴訟で、元夫が15万ドル(約1660万円)を支払うことでこのほど和解が成立した。元夫は離婚後に姿を消し、一度も養育費を支払っていなかったという。

 サンディエゴ(San Diego)北郊のカールスバッド(Carlsbad)に住む元インテリアデザイナーのトニ・アンダーソン(Toni Anderson)さん(74)は、1960年代後半にドナルド・レンハート(Donald Lenhart)さんと離婚。2人の間に生まれた現在52歳になる娘を、1人で育て上げたと米メディアに語っている。

 離婚後、レンハートさんは娘の養育費として最初の2年半は毎月210ドル(約2万3000円)を、それ以降は娘が18歳になるまで毎月160ドル(約1万8000円)を支払う取り決めになっていた。

 ところが、養育費は一切支払われず、レンハートさんは「完全に姿を消してしまった」という。アンダーソンさんは米CNNに対し、複数の仕事をこなしつつフードスタンプ(食料配給券)に頼るなどして家計をやりくりし、娘を大学まで行かせたと話した。

 昨年、アンダーソンさんはカリフォルニア州法に基づき養育費を請求する権利が今も自分にあることを知った。そして、元夫が現在オレゴン州に住んでいることを突き止めた。先週、召喚されて出廷したレンハートさんから許してくれと言われ、ショックを受けたという。

 アンダーソンさんが請求していたのは未払い分の養育費3万5000ドル(約390万円)に利息と罰金を加算した16万ドル(約1770万円)だったが、今後2年間にレンハートさんが計15万ドルをアンダーソンさんに支払うことで両者は和解した。

 レンハートさんは離婚後、新しいパートナーとカナダに移り住み、2人の子どもをもうけていた。弁護士によると、離婚時にアンダーソンさんと握手を交わしたことで示談が成立し、養育費の支払いは免除されたと思っていたという。

 提訴されたレンハートさんはパニックになっていたというアンダーソンさん。和解できたことに喜びを表明するとともに、「私は長年パニック状態だったから、とてもうれしい。今度は彼の番」と話した。(c)AFP