【3月29日 AFP】米メリーランド州ボルティモア(Baltimore)のジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)の外科医チームは28日、エイズウイルス(HIV)に感染した女性から別のHIV感染者への生体腎移植を今月25日に実施したと発表した。この種の手術としては世界初だという。

 手術を終えたドナーのニナ・マルティネス(Nina Martinez)さん(35)は28日に記者会見を開き、「良い気分です」と述べた。

 レシピエントの身元は明らかにされていないが、ジョンズ・ホプキンス大のクリスティン・デュランド(Christine Durand)准教授によると、経過は「申し分ない」という。

 デュランド氏は、「(マルティネスさんとレシピエントは)この贈り物にとても感謝している。今後は長期転帰を観察していく」と述べた。

 ジョンズ・ホプキンス大によると、マルティネスさんは当初、友人に腎臓を提供するつもりだったが、その友人は亡くなった。その後も臓器提供者となる意思を持ち続けたという。

 アトランタ(Atlanta)在住のマルティネスさんは、医療ドラマ「グレイズ・アナトミー(Grey's Anatomy)」のあるエピソードに触発されて、腎臓を提供することにしたという。マルティネスさんは、初の医療事例に関わることができて光栄だと述べた。

 今回の生体腎移植の実施は、エイズウイルス感染者が普通の実りある生活を送ることを可能とする抗レトロウイルス薬に研究者らが寄せる信頼の強さを明白に示した。(c)AFP/Ivan Couronne