【3月27日 AFP】スペイン・マドリードで先月、北朝鮮大使館に男らが集団で押し入り、職員らに暴行を加えてコンピューターを盗んだとされる事件について、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)政権の転覆を狙う正体不明のグループが27日、ウェブサイト上で犯行声明を発表した。

 犯行声明を出したのは「チョルリマ・シビル・ディフェンス(Cheollima Civil DefenseCCD、千里馬民防衛)」と名乗る反体制組織。同組織は北朝鮮の亡命希望者を支援していると主張し、2017年にはマレーシアで殺害された金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏の息子、キム・ハンソル(Kim Han-Sol)氏を名乗る男性の動画を公開している。

 また、先月には自らを「自由朝鮮(Free Joseon)」という名の北朝鮮の亡命政府であると宣言した。

 CCDは、北朝鮮の在外公館にまん延している不正をなくすため犯行に及んだと主張。また、大使館襲撃によって入手した「非常に大きな潜在的価値がある情報」を米連邦捜査局(FBI)と共有したとしている。

 事件はドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と正恩氏の首脳会談を数日後に控えた2月22日に発生。報道によると襲撃グループは大使館職員らに暴行を加え、書類やコンピューターを持ち去ったという。

 スペインの裁判所は26日、事件後初の当局側の公式発表として、襲撃グループの主犯格はメキシコ国籍のアドリアン・ホン・チャン(Adrian Hong Chang)容疑者だと発表した。

 また裁判所によると、グループの2人が大使館の商務官を地下室に連れ込み、亡命を促したものの、商務官はこれを拒否したという。

 CCD側は大使館襲撃と米朝首脳会談との関連のほか、暴力の行使も否定しており、「われわれは大使館に招き入れられた。また猿ぐつわをかませられたり、殴られたりした者はいない」「受入国であるスペインに敬意を表し、武器も全く使っていない。大使館内にいた人々には全員、尊厳と必要な注意をもって接した」と主張している。(c)AFP