【3月26日 AFP】マレーシアで、第2次世界大戦(World War II)の慰霊碑が修復され、旧日本軍兵士3人を「英雄」とたたえる看板が設置された。これに対して怒りの声が噴出し、撤去を求める声が上がっている。

 1940年代初めの日本による東南アジア占領については、日本政府が賠償を行い、かつての敵と友好関係を築いた後にも、苦い記憶は依然残っている。

 マレーシア当局は観光振興の目的で、日本から資金提供を受け、1941年に北部クダ(Kedah)州の州都アロースター(Alor Setar)に建立され、長い間放置されてきた石碑を修復した。

 この石碑はもともと、英国をはじめとする連合国軍を遮断するため、戦略的な要衝だった橋の確保に当たって戦死した兵士3人をたたえて日本が建立したものだった。

 しかし先週落成した修復後の慰霊碑の看板には、「アロースター橋を制した日本人の英雄3人の歴史」と記されていた。

 華人系の政党、マレーシア華人協会(MCA)のリム・スウィー・ボク(Lim Swee Bok)氏は26日、約15人の支持者らと共に北部ペナン(Penang)州にある日本領事館を訪れ、慰霊碑の撤去を求める書簡を手渡した。

 リム氏はAFPに対し、「日本による占領の苦痛に満ちた時代を思い出させるだけだ」と語った。

 地元スター(Star)紙は、慰霊碑の周囲に「日本兵は英雄ではない」「地元住民を殺害し、レイプし、斬首した」「日本兵は残虐だ」と書かれた大きな赤い横断幕5枚が掲げられた写真を掲載した。

 クダ州の観光委員会議長は「誤訳」を謝罪。看板は撤去したものの、慰霊碑自体の解体要求には応じず、「石碑は1941年以来ずっとそこにあるものだ。さらにわれわれはクダ州により多くの観光客誘致を目指しており、史跡の維持管理の取り組みの一環だ」と説明した。(c)AFP