【3月26日 AFP】国際ボクシング協会(AIBA)の内部調査で、2016年リオデジャネイロ五輪の判定をめぐる深刻な不正疑惑が浮上している。フランスの日刊紙ルモンド(Le Monde)が25日に伝えた。

 特に疑いを指摘されているのはフランスの関係者。リオ五輪のボクシング競技で、同国は男子スーパーヘビー級のトニー・ヨカ(Tony Yoka)や、現在は同選手の妻となったエステル・モスリ(Estelle Mossely)が金メダルに輝くなど、合計6個のメダルを獲得した。

 しかし大会が閉幕する3日前には、同競技で運営責任者を務めていたカリム・ボウジディ(Karim Bouzidi)氏が、特定の国の選手に対して有利な判定を促していたと指摘され、AIBAに事務局長の職を解かれていたと報じられた。

 ブルガリアの地元紙と共同で調査を行ったルモンドによれば、AIBAの内部報告書や電子メールには、リオ五輪の判定でボウジディ氏がいわゆる五つ星レベルのジャッジに影響力を及ぼしていた可能性について懸念が示されていたという。

 当時AIBAの会長だった呉経国(Wu Ching-kuo)氏が送信した2016年11月18日付の電子メールでは、ボウジディ氏が特にフランスやウズベキスタンの選手に有利なジャッジをするように、別の幹部に関与を促した疑いがあると指摘されていた。ボウジディ氏は25日、AFPの取材に回答しなかった。

 フランスボクシング連盟(FFB)のアンドレ・マルタン(Andre Martin)会長は、ルモンドに対して「リオ五輪の結果は『盗まれた』ものではなく、潔白なものである。われわれがボウジディ氏のことを知っていたのは確かだが、彼に不正を強要したことは決してない」と強調した。

 AIBAの内部調査では、ボウジディ氏が大会のレフェリーらを任命する権限を持っていたことが明らかになっているが、それが試合の結果に影響を及ぼしたという直接の証拠はなかったと付け加えられていた。

 ボクシング競技はすでに、2020年東京五輪から除外される危機に直面しており、実施競技として承認されるためには国際オリンピック委員会(IOC)の調査結果を待つ必要がある。IOCは監査法人のデロイト(Deloitte)経由でAIBAに対し41の質問リストを送っており、デロイトはIOCにその報告を行うことになっている。

 米財務省から「国際犯罪組織」との関わりを指摘されているAIBAのガフル・ラヒモフ(Gafur Rakhimov)会長は、22日に辞任を表明している。(c)AFP