【4月6日 東方新報】中国政府が2016年から「第2子の出産制限」を全面的に緩和した後、第2子を産み育てている世代は、1980年代生まれの「80後」や90年代生まれの「90後」が主だ。この世代は自身が一人っ子であるため、子ども1人を育てるだけですでに精力を使い果たしている。加えて、彼らの親世代は年齢が高めで、健康状態も芳しくない人も多い。あるいは、まだ仕事をしており、孫の面倒を見る時間がない人もいる。このため、専門性のある母子ケアができる家事代行スタッフの需要が、特に差し迫ったものとなっている。

 家事代行サービスの従事者は現在、都市部の失業者か、農村出身の労働力が主で、教育水準は高くなく、生活習慣や物事の考え方が都市住民とは異なる。顧客側の家庭ではニーズが多元化する一方、家事代行を行う側には教育水準や考え方の違いなどの問題が広く存在している。

 こうした落差を埋めるための唯一の方法は、家事代行スタッフに対してサービスの観念や道徳、礼儀作法などの専門的で系統だった教育を切れ目なく実施し、強化することだ。時間のかかる難しい大仕事だが、必要なことだ。

 中国・全国人民代表大会(全人代、National People's Congress)に参加する代表者の一人である卓長立(Zhuo Changli)氏によると、2018年3月12日、全人代で「第2子出産制限の全面緩和に際し、家事代行サービス従事者の総合的資質を早急に引き上げる」と題する提案書が提出され、家事代行スタッフに対する就業前訓練と在職訓練の補助金を上乗せすることが提起された。提案には、手続きの簡素化、管理・監督の強化、補助金用資金の確実な拠出と実効性確保などが含まれている。また、知見と経験のある大型家事代行企業による実戦型訓練を奨励し、大学などの教育機関と提携することで、専門的で高水準の家事代行スタッフを大量に育成することが建議された。

 国務院は18年5月、「終身職業技能訓練制度に関する意見」を発表し、関係各部門に対し、終身職業技能訓練制度の推進を「供給側構造改革」の重要な任務として位置づけ、取り組み体制を改善して職業技能訓練に注力するよう求めた。同「意見」の中では、家事代行スタッフの訓練が政府の補助金支給の対象に組み入れられ、就業前訓練など家事代行スタッフの専門技能の底上げと就業促進に役立てるとしている。(c)東方新報/AFPBB News