【3月24日 AFP】チリの首都サンティアゴのアクレオ湖(Lake Aculeo)が消滅した。かつては週末の行楽地としてにぎわっていたが、今では最後に残っていた草を食べに来たのであろう牛や馬の骨が、ひび割れた大地に散らばっている。

 アクレオ湖の消滅はあまりに突然で、まるで誰かが巨大な栓を抜いて、湖の水を全部流してしまったかのようだった。

 面積12平方キロのアクレオ湖は2011年まで、1時間ほど離れたサンティアゴの人たちの避暑地として人気を集めていた。

 長い南半球の夏を過ごしに数千人が湖を訪れ、泳いだり、水上スキーをしたり、ボートに乗ったり、湖畔でキャンプをしたり、ただ涼んだりして楽しんでいた。レストランで食事をするのに列を成すほどだった。

 だが、アクレオ湖の豊かな水と涼しい夏の記憶は、もはや色あせ始めている。

 キャンプ場の従業員マルコス・コントレラス(Marcos Contreras)さんは「10年間も干ばつに苦しんできたが、とうとう湖が消えてしまった。それとともに観光、キャンプ、ビジネスなど何もかもがなくなってしまった」と嘆く。

■温暖化で降水量が減少

 かつては6メートルもの深さがあった湖は2011年から水位が下がり始め、2018年5月までに完全に干上がった。

 複数の理由があるが、気候変動が大きな要因となっている。地元の人も専門家も、降雨量の大幅な減少を指摘する。だが、農業用水が大量に必要となったことや、湖畔の開発なども要因として挙げられる。

 チリ中部の平均年間降水量は、1980年代は350ミリ近かったが、2018年までに半減した。地球温暖化のせいでこの減少傾向は今後も続くと、科学者らは予測する。

 チリカトリック大学(Catholic University of Chile)気候変動研究所のエドゥアルド・ブストス(Eduardo Bustos)所長は「われわれは、数年にわたり続いている非常に長期の干ばつを経験している」と話す。

「将来的に降雨量が減少する傾向があるため、今後数年間はこれまで経験してきたのと同じくらい雨の少ない年が続く可能性が非常に高い」