【3月22日 AFP】先週アフリカ南部で発生したサイクロン「アイダイ(Idai)」による死者が21日、400人近くに達した。当局の推計では被災者数は170万人を超え、1万5000人が洪水で水浸しになった内陸部にいまだに取り残されているとみられる。犠牲者が急増する中、世界保健健機関(WHO)はマラリアやコレラなど感染症の対策を発表した。

 アフリカ南部を襲ったサイクロンとして近年では最大規模のアイダイは、15日にモザンビーク中部の沿岸部に上陸し、ハリケーン級の強風と豪雨によって内陸部は洪水に見舞われた。隣国ジンバブエ東部も水浸しになった。

 モザンビークのセルソ・イスマエル・コレイア(Celso Ismael Correia)土地・環境・農村開発相は、同国ではこれまでに242人が死亡し、身動きが取れなくなっている1万8000人のうち1万5000人が救助を必要としていると述べた。多数の住民が建物の屋根の上や木の上に避難しているという。

 人道援助活動の拠点となっているベイラ(Beira)の空港で記者会見を行ったコレイア氏は、6万5000人が移送施設に収容されていると明らかにし、「現時点で最優先すべきは大小の島々や村落で孤立している人々に食糧やシェルター、医薬品を確実に提供することだ」と述べた。

 世界食糧計画(WFP)の広報担当者はジュネーブで会見し、サイクロンの被害を受けた人はモザンビークで60万人と推計されるが、「被災者数は確実に増加する」と警告。最終的に同国の170万人近くが支援を必要とするとの見方を示した。

 ジンバブエの国営放送局ZBCによると、同国では20日の時点で100人だった死者数が139人に増加した。WFPは、ジンバブエのサイクロンの被災者が1万5000人から20万人に急増したと明らかにした。(c)AFP・Adrien BARBIER and Joaquim NHAMIRRE