【3月21日 AFP】イタリアで20日、スクールバスの運転手が生徒51人を人質に取り、バスにガソリンをかけて火を付ける事件があった。生徒は警察により全員が救出された。当局が明らかにした。

 ミラノ検察のフランチェスコ・グレコ(Francesco Greco)検事は「奇跡だ。大惨事になるところだった。警察は素晴らしい働きをし、バスを阻止して子どもらを降ろした」と表明。事件がテロ関連である可能性は排除できないと述べた。

 事件は、中学生51人と引率の大人3人を乗せたバスが、スポーツ関連の校外活動から戻る途中に発生。運転手の男が突然、経路を変更し、全員を人質に取ると宣言した。複数の生徒の証言によると、運転手は「誰も生きては出られない」と告げたという。

 男はガソリンが入った缶2個とたばこ用のライターを所持しており、生徒らを脅し、携帯電話を取り上げて電気コードで体を縛った。だが生徒の一人が電話で親に連絡し、親が警察に通報。警察はバスを制止し、バスが炎に包まれる前に後方の窓から生徒らを救出した。

 複数のメディアの報道によると、男は「終止符を打ちたい。地中海での死を止めたい」と語ったという。犯行の動機は今のところはっきりしないが、地中海についての発言は、北アフリカからイタリアを目指して海を渡る途中で命を落とす多数の移民に言及したものである可能性がある。

 報道によると、男はセネガル系の47歳で、2002年からスクールバスの運転手を務めていた。生徒十数人と大人2人が煙の吸入により病院に搬送され、運転手の男も手にやけどを負い治療を受けた。

 映像は20日撮影。(c)AFP