【3月21日 AFP】強力なトラスト規制権限を持つ欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会(Eropean Commission)は20日、米IT大手グーグル(Google)に不公正な競争慣行があったとして、同社に対し、新たに14億9000万ユーロ(約1880億円)の制裁金を科した。

 欧州委員会がグーグルに本格的な制裁を科すのはこれが3回目で、今回は同社のかつての人気広告配信サービス「アドセンス(AdSense)」に対するもの。欧州委は、グーグルはこのサービスにより、顧客ウェブサイトに競合他社の広告が表示されるのを不法に制限したとの判断を示した。

 グーグルとEUは、同社による欧州でのオンライン検索の独占をめぐり2009年から対立。欧州委が判断を下していないのはアドセンスをめぐる事案のみとなっていた。

 最初にこの事案を提訴したのはグーグルのライバル企業である米マイクロソフト(Microsoft)だったが、両社は後に休戦状態に入り、マイクロソフト側は訴えを取り下げている。

 欧州委で競争政策を担当するマルグレーテ・ベステアー(Margrethe Vestager)委員は、今回の決定により、グーグルに対する制裁金が過去2年足らずの合計で82億ユーロ(約1兆370億円)となったことを指摘。制裁金の上限は対象企業の年間売上高の10%とされており、同社に科された金額はこれを大きく下回る。

 グーグルの広報を担当するケント・ウォーカー(Kent Walker)副社長は今回の決定に対し、同社は「委員会の懸念に対応するため、すでに幅広い変更を製品に施している」と説明。「今後数か月間で、さらなる更新を行い、欧州の競合各社に対して透明性を高めていく」と述べた。(c)AFP/Alex PIGMAN