【3月19日 AFP】モザンビークのフィリペ・ジャシント・ニュシ(Filipe Jacinto Nyusi)大統領は18日、国民向けの演説で、先週アフリカ南部を襲った熱帯サイクロン「アイダイ(Idai)」の死者が1000人を超える恐れがあると述べた。隣国ジンバブエでも100人近い死者と200人余りの行方不明者が出ているとみられている。

 アイダイは14日、モザンビーク中部のベイラ(Beira)に大きな被害をもたらした後、ジンバブエを直撃。暴風と鉄砲水により道路が冠水し住宅が押し流された。

 ニュシ氏は国民に向けた演説で「現時点での公式死者数では84人だが、被災地の状況を把握するためけさ上空から見た限りでは、死者数が1000人を超える恐れがある」と述べた。

 同氏は「これは深刻な人道的危機」だとし、「10万人余りが危険にさらされている」と警告した。

 キリスト教系非営利団体「ミッション・アビエーション・フェローシップ(MAF)」が公表した航空写真には、洪水で窓の高さまで家屋が浸水し、その屋根の上に取り残された人々の様子が捉えられている。国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)によると人口約53万人のベイラとその周辺地域の約9割が「損壊あるいは全壊」したという。

 AFPがまとめた集計によると、隣国のジンバブエではアイダイの被害による死者は98人、行方不明者は少なくとも217人となっている。AFPの写真記者によると、一部の道路で巨大な陥没穴(シンクホール)ができ、橋は鉄砲水で崩壊した。(c)AFP/Adrien BARBIER with Zinyange AUNTONY in Chimanimani