【3月18日 MEE and agencies 】シリア北東部のアルホル(Al-Hol)避難民キャンプでは、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」から逃れてくる人々が後を絶たず、医療支援やシェルター、食料が不足する「悲惨」な状況が続いている。キャンプで支援活動を行っている複数の団体が現状を明らかにした。

 避難民キャンプには、2月末から3月にかけての1週間だけで新たに約1万5000人が到着した。多くの人々が押し寄せる中、米軍の支援を受けるクルド人主体の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」は、ISがシリア最後の拠点として立てこもるイラク国境そばのバグズ(Baghouz)村の包囲を続けている。

 人道支援団体「国際救済委員会(IRC)」の広報担当ミスティ・バズウェル(Misty Buswell)氏は今月、「キャンプの状況は間違いなく悲惨だ。これだけの人が押し寄せるとは誰も予想しておらず、まったく手に負えない状況となっている。人の流入もまだ止まっていない」と、ヨルダンからの電話でトムソン・ロイター財団(Thomson Reuters Foundation)に述べ、またキャンプではテントが不足しているため、十分な保護の提供が大きな課題になっていることを明らかにした。

 バグズから少し離れた場所には、ISから逃れてきた人々を調べるための保安検査施設が設けられている。AFPの記者はそこで子どもを含む数百人を確認しており、中にはSDFの隊員に囲まれて地面に座る男性や、身体検査を待つ全身を黒い衣服で覆う女性らの姿があったと伝えている。

 国際連合(UN)は先ごろ、激しい戦闘を受け、最後のIS支配地域から避難している数千人の市民が置かれた状況について「深刻な懸念を抱いている」と表明。支援団体らも、キャンプでは新たに到着する避難民のための医療および保護体制が十分に整っておらず、また水も足りていないことを明らかにしている。

 キャンプでは現在、5万7000人近くの人々が生活しているが、このうち約90%は女性と子どもとなっている。赤十字国際委員会(ICRC)広報担当のサラ・アルザカリ(Sara al-Zawqari)氏によると、テントが足りずに屋外での就寝を強いられる人もいるという。