【3月19日 Xinhua News】ドラえもんの「愛のひみつ道具楽園」アニメ・漫画展が15日、中国・上海で開幕した。開幕初日、多くの「70後」(1970年代生まれ)から「00後」(2000年代生まれ)の人々が来場し、盛り上がりを見せている。

 日本で1969年に発表されたドラえもんは、中国で最も影響力が大きく、最も長く愛されてきた日本のアニメ・漫画作品の一つだ。1987年に中国の多くの出版社が漫画本を出版し、1991年には中国中央テレビ(CCTV)が正式にアニメ放映を開始した。こうしてこの丸々として温かくかわいらしい、不思議な魔法の力に満ちたキャラクターが、中国の各世代の子ども時代に寄り添ってきた。ドラえもんは中国で「機器猫」「小叮当」「哆啦A夢」など、さまざまな名前に訳されてきた。ファンからは親しみを込めて「藍胖子」(青い太っちょ)とも呼ばれている。

 会場のショッピングモール「上海大悦城」では、屋上の観覧車の前に巨大なドラえもんが設置され、階下の一つのフロアが丸ごと、春の気配ただよう通りに姿を変えている。通りの中の駅や郵便局、おもちゃ屋、「もしもボックス」やひみつ道具博物館では、ドラえもんと出会える。また「どこでもドア」を開けて「のび太の部屋」に入ると、子ども時代の思い出がよみがえるだろう。

 見どころたっぷりの展示に引かれ、大勢の若者も来場して自撮りをしている。主催者によると、今回の展覧会は中国でドラえもんの著作権を代理する会社からライセンスを取得して実施している。同展では公式にライセンスを取得した大量の関連グッズや文化クリエーティブ商品が販売され、売れ行きは好調だ。ある「70後」の来場者の女性は娘に抱き枕とコーヒーカップを買った。「子どもの頃は、いつまでもそばにいてくれて、人生のあらゆる困難を解決してくれるので、ドラえもんがいてくれたらと何度も夢に見ていました。今は子どもたちと一緒にいてほしいと思っています」と語った。

 「50歳近く」のドラえもんは、なぜ中国で長年にわたって愛されているのか。ある分析は、ドラえもんの創作と宣伝が絶えず革新的であり続けていることと関係しているという。2015年に中国で公開された映画「STAND BY ME ドラえもん」は興行収入5億3000万元(1元=約17円)を記録、その後同シリーズの映画はほぼ毎年夏に中国で上映され、若い世代の観客を魅了している。ドラえもんは中国ではアニメ・漫画分野のトップブランドと見なされている。アリババグループとその傘下のECサイト淘宝網(タオバオ)が、中国内地におけるドラえもんのオンライン上の独占的代理権を取得している。

 著作権業界の関係者は、アニメ・漫画のキャラクターには独特で全年齢層に通用する魅力があり、特にビジネス開発向きだと話す。上海では都市再開発が進むにつれて、ますます多くの公共スペースやショッピングモールがアニメ・漫画展を通じた集客と消費喚起に期待を寄せている。(c)Xinhua News/AFPBB News