【3月16日 AFP】ニュージーランド南島クライストチャーチ(Christchurch)で15日に起きたモスク(イスラム礼拝所)銃乱射事件で、49人を殺害したとされる男(28)は事件前、憎悪に満ちた「マニフェスト」をインターネット上に投稿し、ネオナチ(Neo-Nazi)思想と欧州への移民流入が動機だったことを示唆していた。

 74ページにわたるマニフェストは、「壮大な入れ替え」と題され、欧州の白人が非白人の移民に意図的に置き換えられているという、極右の間で広まっている陰謀説が語られている。このタイトルは、フランスの作家ルノー・カミュ(Renaud Camus)氏の著書から取ったものとみられる。マニフェストでは、カミュ氏が広めた「白人ジェノサイド(大量虐殺)」という言葉が使われ、自問自答形式の記述も含まれていた。

 容疑者は「民族主義者」を自称していたほか、ノルウェーで2011年に多文化主義への憎悪から77人を殺害した人種差別主義者のアンネシュ・ベーリング・ブレイビク(Anders Behring Breivik)受刑者を含む極右過激派の人物らに「触発」されたとも述べている。

 さらに1930年代の英国の悪名高きファシストの指導者で反ユダヤ主義者のオズワルド・モズレー(Oswald Mosley)について「私の信条に最も近い歴史上の人物」と説明。自分はドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の支持者であり、トランプ氏は「白人のアイデンティティーと共通目標の復活の象徴」だと記している。

 容疑者はまた、2017年4月にスウェーデンの首都ストックホルムで起き5人が死亡したイスラム過激派の男によるトラック突入事件に言及。事件で最年少の犠牲者となった少女エッバ・オーケルルンド(Ebba Akerlund)さん(当時11)の死に対する復讐が動機の一つだったと説明している。(c)AFP