■「グレート・ギャツビー」ならぬ「グレート・スンツビー」

 V.Iさんは今週、ソウルの江南(Gangnam)地区にある複数のナイトクラブで、出資してくれる見込みがある相手に売春をあっせんして性的接待を行った疑いで、警察の事情聴取に応じていたことが明らかになった。

 V.Iさんが広報代表を務めていたナイトクラブ「バーニングサン(Burning Sun)」は、従業員が隠しカメラで女性を盗撮し、アルコールや薬物を使用して女性をレイプした疑いが浮上しており、V.Iさんも警察の捜査対象となっている。

 スキャンダルが明るみに出る前のV.Iさんは、容姿端麗で、実業家としても成功し、派手なパーティーを主催することから、米小説家、F・スコット・フィッツジェラルド(F. Scott Fitzgerald)の「グレート・ギャツビー(The Great Gatsby)」の主人公になぞらえて「グレート・スンツビー」の異名も取っていた。

 スキャンダル発覚後、V.Iさんにはギャツビーとの共通点がさらに多いことが分かったのは皮肉だと、イさんは指摘する。「2人とも、富と名声を手に入れるために違法行為に手を染めた」

 BIGBANGのファンの反応は二分している。報道内容はうそだと主張して応援し続けるファンもいれば、怒りと失望を表すファンもいる。韓国のファンの一部は、BIGBANGの評判を著しく損ねたとして、V.Iさんの除名を呼び掛けている。

■根強い女性差別

 韓国の女性活動家にとって、今回のスキャンダルは意外ではなかった。

 韓国では、学校、トイレ、職場での盗撮に加え、男性が過去に付き合っていたパートナーとの性行為を相手の同意を得ずに撮影し流出させる「リベンジポルノ」も横行しているとみられている。

 家父長制の価値観がいまだに根強く社会に浸透しており、こうした盗撮画像や動画が拡散された場合、女性の方の評判が著しく傷つけられる可能性がある。

 韓国のフェミニスト団体「フレーミング・フェミニスト・アクション(Flaming Feminist Action)」の活動家、ハン・ソル(Han Sol)氏は、盗撮動画は一種の娯楽、または「男同士の絆」を強めるツールとして、同国の男性の間で以前から視聴、共有されてきたと指摘する。

 昨年、韓国では、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)を告発する世界的な「#MeToo(私も)」運動に触発された数千人の女性たちが抗議集会を行い、スパイカメラによる盗撮の厳罰化を訴えた。

「今回の件で明らかになったのは、男性たちは女性を食い物にしているが、この由々しい問題に関してはKポップスターも例外ではなかったということだ」と、女性の人権活動家ペ・ボクジュ(Bae Bok-ju)氏はAFPに話した。(c)AFP/Claire LEE