■欧州の大気汚染物質の大半は化石燃料由来

 その結果、群を抜いて最も多かった死因は、PM2.5として知られる直径2.5ミクロン未満の微小粒子状物質であることが判明した。ちなみに平均的な人の毛髪の太さは60~90ミクロンだ。「PM2.5による健康への有害な影響がこれまで考えられていたよりはるかに大きいことが、最新データで分かった」と、レリーフェルト氏は説明する。

 WHOは、PM2.5などの大気中の微小粒子状物質の濃度について、1立方メートル当たり年平均10マイクログラムを超えないよう勧告している。EUの基準値はこれよりはるかに緩く、年平均25マイクログラムだが、この水準でさえも、いくつかの欧州諸国ではこの値を常態的に上回っている。

 今回の研究によると、大気汚染による超過死亡者数は、全世界では人口10万人当たり年間120人であるのに対し、欧州では、他の大半の地域よりも厳しい汚染規制が行われているにもかかわらず、人口10万人当たり年間133人となっている。

 この理由についてレリーフェルト氏は、「大気の質が低下している地域に人口が密集すると、世界最高レベルの暴露につながることから説明できる」と指摘。「欧州では粒子状物質などの大気汚染物質の大半は化石燃料の燃焼に由来しているため、これ以外のエネルギー源に早急に切り替える必要がある」と訴えた。(c)AFP/Marlowe HOOD