【3月12日 AFP】国連(UN)の世界保健機関(WHO)は11日、今後10年間にわたりインフルエンザの脅威から世界中の人々を守るための新戦略を発表した。新たなパンデミック(世界的大流行)の発生は「避けられない」と、WHOは警告している。

 WHOは、インフルエンザの年間の感染者数(大部分は季節性)は世界で約10億人、死者数は数十万人に及んでおり、インフルエンザを公衆衛生における世界最大の難題の一つと指摘。WHOが今回打ち出した戦略は、2019年から2030年にかけて季節性インフルエンザを予防し、動物から人へのウイルスの拡散を抑え、次のパンデミックに備えることを目的としている。

 インフルエンザの破壊的なパンデミックはたびたび発生している。1918年に発生したスペイン風邪では世界で数千万人が死亡。それ以降、世界規模の大流行は1957年、1968年、2009年と3回発生しており、2009年のパンデミックではブタ由来のH1N1型インフルエンザにより世界214か国で約1万8500人が命を落とした。

 WHOはインフルエンザの新たなパンデミックは避けられないとして、「これほど相互につながり合った世界では、問題は新たなパンデミックが起きるかどうかではなく、いつ起きるかなのだ」と警鐘を鳴らしている。

 新戦略を立ち上げるに際して、テドロス・アドハノン(Tedros Adhanom)WHO事務局長は、「インフルエンザの大流行による損失は、予防費用をはるかに上回る」と指摘。WHOによると、パンデミックへの備えに必要な費用は1人当たり年間1ドル(約110円)未満とみられるのに対し、パンデミックが発生した場合の対応費用は、およそ100倍になる。

 WHOは今回発表した戦略で各国に対し、従来の健康事業を強化するとともに、それぞれの状況に応じてインフルエンザ対策計画を策定し、疾病の監視、対応、予防、拡大防止などに力を入れるよう呼び掛けている。

 感染拡大を防ぐ最も効果的な方法としてWHOが推奨しているのが、特に医療従事者やインフルエンザ合併症のリスクが高い人々に毎年予防接種を受けてもらうようにすることだ。

 一方でWHOは、より効果的で利用しやすいワクチンと抗ウイルス薬治療を開発する必要性を訴え、研究開発や技術革新、ワクチン改良などを実現するために、関係各所との協力を拡大すると主張。新戦略によるメリットはインフルエンザに限らず、エボラ出血熱など、その他の感染性疾患の検出増加にもつながると述べている。(c)AFP/Nina LARSON