【3月12日 AFP】(更新)テリーザ・メイ(Theresa May)英首相は11日、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)をめぐり仏ストラスブールでEU高官らと会談し、双方が昨年結んだ離脱協定案に「法的拘束力のある変更」を加えることで合意したと明らかにした。新提案を英議会で可決させ、EU離脱による大混乱の回避を目指す。

 英下院は1月、協定案を反対多数で否決し、12日の採決も意味のある変更がないまま同じことが繰り返されると予想されていた。

 メイ首相は、12日に英議会で予定される協定案の2回目の採決を前にストラスブールに飛び、欧州委員会(European Commission)のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)委員長、ミシェル・バルニエ(Michel Barnier)首席交渉官と会談。同案を救うため土壇場の交渉を行った。今月29日に予定されているEU離脱へは秒読み状態に入っている。

 会談後、メイ首相は記者団に対し「本日われわれは法的拘束力を伴う変更を確保した」と述べ、「力を合わせてこの改善された離脱協定案を推進し、英国民が望む離脱を実現する時が来た」と表明した。

 メイ首相の発表に先立ち、メイ政権の事実上のナンバー2、デービッド・リディントン(David Lidington)ランカスター公領尚書は、今回の会談で作成された「法的拘束力のある共同文書」は英・アイルランド国境を閉ざさないためのいわゆる「バックストップ」計画も対象としていると明らかにしていた。

 リディントン氏は、共同文書により「EUは英国をバックストップに無期限にとどめることができないことが確認された。もしそうすれば、双方が合意した法的拘束力のある公約への明白な違反となる」と説明。仮にバックストップの代替策を探るという合意にEUが違反した場合、英国はこの文書を「独立した調停による正式な紛争処理のための基礎」として用い、最終的にはバックストップを停止すると述べた。

 英国のEU離脱を決めた2016年6月の国民投票実施につながる運動を主導したナイジェル・ファラージ(Nigel Farage)氏はなおも強硬姿勢で、今回の文書について「ただの単語の羅列とねじ曲げられた意味ばかりだ。拒否だ、拒否だ、拒否だ」とツイッター(Twitter)に書き込んだ。

 最大野党・労働党のジェレミー・コービン(Jeremy Corbyn)党首は「欧州委員会との今夜の合意は、テリーザ・メイが議会に約束した変更に近づくものを何一つ含んでいない」と述べ、合意文書に反対する姿勢を示した。(c)AFP/Lachlan CARMICHAEL with Dmitry ZAKS and Alice RITCHIE in London