■欧州への新たな玄関

 オフィス街が小規模に連なるダブリンの国際金融サービスセンター(IFSC)は、ロンドン中心部の金融街シティー(City)にそびえる摩天楼と比べるとささやかだ。

 だがここは、かつて埠頭(ふとう)だったところに米IT大手のフェイスブック(Facebook)やグーグル(Google)、リンクトイン(LinkedIn)などが転入してきたダブリンの「シリコン・ドック(Silicon Docks)」と同じようにブームを巻き起こすかもしれない。

 アイルランドの法人税率はわずか12.5%。ブレグジット後にはEU唯一の英語圏の国となる。またロンドンからは飛行機でたった1時間という近さだ。

 いつもはブレグジットと聞くと表情が険しいアイルランドのレオ・バラッカー(Leo Varadkar)首相は、2月に行った演説で、アイルランドが「EUとその単一市場への唯一無二の玄関」になると宣伝した。

 だが、アイルランド登記の資産は増えるかもしれないが、雇用へのトリクルダウン(浸透)効果は不明だ。

 ブレグジットの結果、アイルランドの失業者はさらに5万5000人増えるとの財務省の推計が正しければ、何が増えようが安泰は全くもたらされない。例えばバークレイズの移転によるダブリン支店での追加雇用は、わずか150人にとどまる見込みだ。(c)AFP/Joe STENSON