【3月10日 時事通信社】中国の習近平指導部は10日、チベット動乱から60年の節目を厳戒態勢で迎えた。共産党政権は経済の発展を強調し、チベット統治を正当化する一方、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世を「分裂主義者」と非難。チベット族の宗教活動に対する統制を露骨に強めている。

 6日に開かれた全国人民代表大会(全人代、国会に相当)のチベット自治区分科会では、チベット族の代表から「チベットは党と政府のおかげで発展した」などと習指導部を賛美する発言が相次いだ。2018年の域内総生産(GDP)は前年比9.1%増で、伸び率は貴州省と並び、31の省・自治区・直轄市で首位。自治区トップの呉英傑・党委員会書記は「チベット人民は党がもたらした幸せな生活にとても感謝している」と満足げに語った。

 半面、統制強化の方針は明確だ。中心都市ラサの市長(チベット族)は「寺院管理の主導権は党と政府が掌握」「大型の宗教活動の日数と参加者を10%以下に削減」という方針を明言。「暴力テロ、民族分裂活動、宗教過激派を断固として打破する」と語った。

 チベット問題への「外国勢力の介入」を懸念する共産党政権は特例を除き外国メディアの現地取材を認めていない。住民に対する監視も厳しく、動乱から60年の時期に合わせて統制は普段よりも一段と強化されている。ある北京市内の旅行業者によると、当局は2月初旬、3月末まで外国人のチベット訪問を一切認めない方針を通知した。(c)時事通信社