【3月10日 時事通信社】チベット動乱から60年が経過したが、多くのチベット人が亡命したり、中国政府の抑圧下で生活したりする環境は変わっていない。亡命チベット人は、「親同様」というダライ・ラマを中心とするチベット仏教を信仰し、固有の文化を守って生活する権利を求めてきた。動乱を経験した高齢者は「いつの日か正義がなされる」と信じている。

 ダラムサラで暮らすロブサン・ユンテンさん(77)は、チベット政府高官だった父、姉とともに抵抗運動に参加、懲役10年の判決を受けた。ダム工事に従事し、「朝から晩まで岩を入れたかごを背負わされ、腰や脚に異常が出た。何度も自殺しようと思った」と振り返る。

 それでも「チベットはチベット人のもの。中国に侵略された」と言い続けたため、刑期終了後に12年も強制労働させられた。1981年に解放された時にはやせ細り「骸骨のようだった」という。

 冷静に当時を振り返っていたユンテンさんだが、ともに拘束され、志半ばで死亡した仲間のことを尋ねると号泣。「(自分と仲間は)家族同様に愛し合い、(中国の弾圧に)揺らぐことなく戦ってきた。いつの日か正義がなされ、チベットは自由になる」と言葉を絞り出し、国際社会の助力を求めた。(c)時事通信社