【3月9日 AFP】女子テニスで四大大会(グランドスラム)通算23勝を誇るセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)は、国際女性デー(International Women's Day)に合わせた米誌フォーチュン(Fortune)の記事で、家庭と仕事を両立する女性の「平等を求めて一致団結して戦うこと」を訴えた。

 元世界ランク1位のセレーナは、第1子出産後の復帰戦となった昨年の全仏オープンテニス(French Open 2018)でシード権が与えられず、それが引き金となり負傷に見舞われてマリア・シャラポワ(Maria Sharapova、ロシア)との4回戦を前に棄権することを余儀なくされたとして、ランキングシステムを批判した。

「出産休暇から復帰したとき、戦列を離れていたことで不利益な立場に追い込まれた。世界ランキングが1位から453位まで後退した」「そのことで、全仏オープンでは序盤から厳しい相手と対戦することになり、胸筋を痛めて大会の棄権を強いられた」

「自力で懸命に戦い、直後のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2018)では決勝に進出できたけれど、偏向的なランキングシステムに関しても公の場で厳しい闘いに直面した」「出産して仕事に復帰する際に、女性が不利益を被ることを阻止する必要がある」

 女子テニス協会(WTA)は既にいくつかの手順を踏んでおり、新ルールを定めて出産や故障から復帰した選手のランキングを維持できるようにしているほか、レギュラー大会の初戦ではノーシードの選手と当たるようにしている。一方、グランドスラムは独自にシードを決めており、昨年のウィンブルドンではセレーナに第25シードが与えられた。

 セレーナは2017年9月に長女アレクシス・オリンピア(Alexis Olympia)ちゃんを出産し、その半年後にツアー復帰を果たしてから一度も優勝していないものの、昨年はウィンブルドンに続いて全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)でも決勝まで勝ち進んだ。

 現在は世界10位につけているセレーナは、米インディアンウェルズ(Indian Wells)で開催されているBNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2019)で第10シードを獲得し、初戦となる8日の2回戦では同じく元世界ランク1位のビクトリア・アザレンカ(Victoria Azarenka、ベラルーシ)と激突する。

 長年のライバルである両者の対戦は、互いが母親となってからはこれが初めてとなる。アザレンカは2016年12月に長男レオ(Leo)くんを出産し、それに伴う親権争いのいざこざでツアー出場が限られ、ランキングを大きく下げている。

 セレーナは、調査会社サーベイモンキー(SurveyMonkey)の調査で、女性の3人に1人が女性は仕事場で感情を隠すことを余儀なくされているとした回答を引き合いに出し、「こうした二重基準は役員室やテニスコートでも目にしている。女性は「感情的」で「ヒステリック」だとか「好戦的」と見られがちなのに、男性は同じような振る舞いをしても、そうしたレッテルを貼られることはない」と訴えた。

 こうした女性への偏見について、セレーナは昨年の全米オープン決勝で自分に厳しいペナルティーを科したカルロス・ラモス(Carlos Ramos)主審にも影響を与えていたとの考えをにおわせた。(c)AFP