【3月9日 AFP】女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモン(Steve Simon)最高経営責任者(CEO)は8日、AFPの取材に対し、伝説的選手のマルチナ・ナブラチロワ(Martina Navratilova)氏がインチキだと評して物議を醸したトランスジェンダー(性別越境者)の選手に関して、競技への参加を歓迎する意向を示した。

 サイモンCEOはトランスジェンダーの選手に関する協会の方針として、国際オリンピック委員会(IOC)の基準に従っていると述べた。男性から女性に性別を変更した選手について、五輪ではテストステロン(testosterone)値を制限することを条件に、性適合手術を行わなくても競技の参加を認めている。

 今年からWTAファイナルズ(2019 WTA Finals Shenzhen)の開催地となった中国・深セン(Shenzhen)からの電話インタビューでサイモンCEOは、「WTAはこれまで選手たちの機会を平等に受容することと付与することに基づいた組織として運営されてきた」「現時点で協会の方針は、(トランスジェンダーの選手を)受け入れる用意がある」と述べた。

「彼らはマルチナの見解に沿う必要はない」「しかし、われわれは多様な意見を尊重する。彼女はこの議論を先に推し進めようとしているのであって、それは非常に公平な姿勢であると思う」

 四大大会(グランドスラム)のシングルスで通算18勝を誇るナブラチロワ氏は、新聞のコラムで「女性になることを決めた」男性を女子と競わせることは「ばかげたことであり、インチキだ」との見解を示した。このことで「トランスジェンダー嫌悪」であると批判され、後日謝罪した。

 先日には英国出身の元女子競泳選手シャロン・デイビーズ(Sharron Davies)氏も、トランスジェンダーの選手を女子競技に参加させることについて反対意見を表明していた。(c)AFP/Talek HARRIS