【3月8日 AFP】女子テニスの大坂なおみ(Naomi Osaka)は、一躍スター選手となって世界ランク1位まで急成長するきっかけとなった昨年のBNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2018)の優勝から1年が経過した今、過去を振り返らずに前を見据えている。

 昨年9月に全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)を制したのに続き、今年1月の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2019)でもタイトルを獲得した大坂は昨年、世界44位のノーシード選手として米カリフォルニア州インディアンウェルズ(Indian Wells)の大会に乗り込んだが、そうした気楽な立場でなくなったのはずいぶん前のことだと話している。

 しかし、高い期待が寄せられる重圧への対処法を学んでいる大坂は、今回がキャリア初の挑戦となる大会連覇についても新たな気持ちで臨めており、「大会連覇というのではなく、もう一つタイトルを狙う気持ち」「連覇することではなく、もう一度優勝することを目指す」と語った。

 大坂は2018年大会の途中で、「ここには楽しむために来ていて、目標はベスト8入りくらい」と考えていたことを認めると、「悪く聞こえるかもしれないけど、それは本音。だって、これぐらいの大会でそこまで勝ち進んだことは一度もなかったから」と話した。

「ラウンドのたびに素晴らしい選手たちとプレーを続けられて、とにかくここで楽しめている、そういう感じだった」「だけど、勝ち続けていったときには、『すごい、この大会で優勝できるかもしれないと思ったら、勝ってしまった』という感じだった」

 四大大会(グランドスラム)で連勝したにもかかわらず、ここまで成長するのにスムーズな道のりではなかった大坂は、大会に出場するたびに自分で「ばかげたプレッシャー」をかけるという段階は乗り越えた。そしてようやく「とにかく、もう一度楽しもうと決めた」といい、さらに成熟した目標を設定しているという。

「とにかく練習通りにプレーしたいし、それがうまくできることも分かっている。自分の思い通りに行かなくても、試合に勝つ方法を見つける努力をしていく」「全豪オープンでは、それができたと思っている。そのスキルに磨きをかけていけることを望んでいる」

 大坂は全豪オープンで優勝してからわずか17日後にサーシャ・バイン(Sascha Bajin)氏と電撃的に決別し、ヴィーナス・ウィリアムス(Venus Williams、米国)の元練習パートナーで、米国テニス協会(USTA)の女子代表チームのコーチを務めているジャーメイン・ジェンキンス(Jermaine Jenkins)氏を新コーチに迎えた。

「男子と打ち合いたかったので、(コーチとして)彼は本当に良い選択だったと思う」「彼はストロークの優れた選手でもあったようだし」

 コーチ不在の間、大坂は世界ランク1位として初めて臨んだドバイ・テニス選手権(Dubai Duty Free Tennis Championships 2019)で、当時同67位だったクリスティーナ・ムラデノビッチ(Kristina Mladenovic、フランス)にまさかの1回戦敗退を喫した。

 今年のBNPパリバ・オープン初戦として9日に臨む2回戦で、大坂はその借りを返すべくムラデノビッチとの再戦に臨むことが決定。ムラデノビッチは7日の1回戦で中国の鄭賽賽(Saisai Zheng)を7-5、6-2で退けた。

 大坂はジェンキンス氏とタッグを組んで以降、これまでのルーティンはそれほど変えていないと明かし、「自分としては劇的な変化はない」「これがフィットネストレーナーだったら、もっと劇的に違ったと思う。今でもヒッティングとか、やることは同じ」「基本練習は変わっても、プレーに関しては同じようにやっている」と語った。

 大坂はまた、ジェンキンス氏とはすぐに意気投合したこともほのめかしており、「ジャーメインとはたくさん話をしていて、彼は本当に気さくな男性」「彼はたくさん質問をしてきて、私もたくさん考えることが好きだから、そのことが役に立っていることは間違いない」と話した。(c)AFP/Rebecca BRYAN