【3月7日 AFP】(更新)タイの憲法裁判所は7日、同国のワチラロンコン(Maha Vajiralongkorn)国王の姉であるウボンラット王女(Princess Ubolratana)を、3月の総選挙に向け首相候補に擁立しようとした主要野党、国家維持党(Thai Raksa Chart Party)の解党を命じた。国家維持党の幹部らはまた、政治活動が10年間禁止された。

 タクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相派の政党である国家維持党は先月、同派が総選挙で下院の過半数を得た場合の首相候補としてウボンラット王女を擁立。だがワチラロンコン国王はこの動きに対し、王室の一員を政治体制に持ち込むことは極めて不適切と非難する声明を発表していた。

 憲法裁の判事9人は今回、国家維持党が立憲君主制に対する「敵対」行為を犯したとして有罪と判断し、全員が同党の解党に賛成した。

 判事の一人は、「王室は政治の上位にあり、政治的中立を維持するため、国王や王女らは投票によって政治的な権利を行使することはできない」と述べた。

 国家維持党は、2011年の選挙で大勝したタクシン派の主力政党、タイ貢献党(Pheu Thai Party)を支援する政党として設立された。同党の解党は、総選挙で過半数確保を狙うタクシン派にとって大きな痛手となる。

 一方、軍事政権を率いるプラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)暫定首相を首相候補として担ぐ親軍政勢力には追い風となる。

 現在、タイ東北部の観光業のプロモーション活動でドイツの首都ベルリンを訪れているウボンラット王女は、インスタグラム(Instagram)を更新し、#Doittogether(一緒に行動しよう)というハッシュタグとともに「タイのために働き続けたい」というメッセージを投稿した。(c)AFP