【3月7日 AFP】英国で、10代の少年少女が刺殺される事件が相次いでいる。先週末にも2人が死亡し、今年に入ってからの犠牲者数が計10人となったことを受け、英政府は6日、刃物を使った襲撃事件の多発について国のトップレベルで近く対策を協議する方針を示した。

 英国では、首都ロンドン東部の公園で1日にジョディ・チェズニー(Jodie Chesney)さん(17)が、翌2日にはイングランド北西部マンチェスター(Manchester)近郊でユセフ・ガレブ・マッキ(Yousef Ghaleb Makki)さん(17)が、刃物で刺されて死亡。少年少女の刺殺事件の増加に注目が再び高まっている。

 警察上層部と緊急会合を開いたサジド・ジャビド(Sajid Javid)内相は5日、「深刻な暴力事件には、病気と同様に、政府全体を挙げて、社会全体で対処していきたい」と発言した。

 また、テリーザ・メイ(Theresa May)首相は6日、「数日以内に国のトップレベルで協議し、この問題に取り組むため社会全体で何ができるかを検討する」と下院で表明。「複雑な根本原因」を理解し対処することでしか暴力の多発は防げないとの見方を示した。

 一方、最大野党・労働党のジェレミー・コービン(Jeremy Corbyn)党首は、事態を深刻化させている要因は警察の人員削減だと非難。「警官の人数が十分だというならば、国防相が昨日、軍の支援を提案したのはなぜなのか、首相に説明していただきたい」とメイ首相を追及するとともに、「この問題に対処する手腕が警察にないのは明らかだ」と指摘した。

 これに先立ちメイ首相は今週、特定の犯罪と警察力との間に直接的な関連はないと発言。これは、ロンドン警視庁(Metropolitan PoliceScotland Yard)のクレシダ・ディック(Cressida Dick)警視総監の「明らかに」因果関係があるとの発言と矛盾する内容で、物議を醸している。

 メイ首相は内相時代、黒人や少数民族を差別しているとの批判を受け、警察改革を陣頭指揮していた。(c)AFP