【3月6日 Xinhua News】米コーヒーチェーン大手スターバックスはこのほど中国で、桜シリーズのカップを発売した。中でも「猫の手カップ」が消費者から熱狂的な人気を呼んでいる。実店舗では売り切れが相次ぐだけでなく、ネットショップでもあっという間に完売した。

 「猫の手カップ」は二重構造のタンブラーで、表面に桜を飾り、内側が猫の手のような形をしている。発売価格は199元(1元=約17円)だが、アリババグループの通販サイトの淘宝網(タオバオ)では数百元から1000元ほどで売られた。

 「猫の手カップ」を買い占めて、またそれに熱狂した消費者には、飼い主か猫愛好家が相当いる。業界関係者は、「猫の手カップ」が人気沸騰した背景には、消費者の癒しを求める消費マインドがある。「ネコノミクス」が芽生え始めているとみている。

 清華大学経済管理学院市場マーケティング学部の劉文静(Liu Wenjing)副教授によると、中国では、猫に依存する傾向は、高齢化の進行と独身現象の広がりに伴って現れたものだ。ペットとの暮らしは、ストレス緩和にプラスに働くという研究結果もある。ストレスが強く、きつい仕事を終えた一人暮らしの若者が「吸猫」(猫と触れ合うこと)によって気持ちを切り替えていることの裏付けではないかという。

 中国では、マーケティング実践において猫をイメージキャラクターに採用する店舗や企業が多くなっている。

 アリババグループ傘下のオンラインショッピングサイト天猫(Tmall)の商標は黒猫、ライバル会社である京東(JDドットコム)の商標は白い犬だ。偶然のようだが、実際、マーケティングにおいてペットに依存する消費者のマインドがうまく利用されている。

 劉副教授によると、これらのブランドと広告が作り上げた猫に関係した温かくて親しみのある画面は、まるで心に潜む仲介者のように、消費者にこのブランドを使うと、同じような親しい関係が得られると意識させ、さらに製品の購買を促し、ブランドロイヤリティーを高めている。

 騰訊研究院発表の「中国猫次元経済現象研究」によると、昨年初め、中国では「吸猫」者は5000万人に迫り、消費者規模は3000万人に近づいており、猫関連グッズは衣食住・交通など各方面をカバーしていることが分かった。

 劉副教授は、中国人の一人当たり可処分所得が増加するにつれ、家庭でペットを飼う習慣が当り前になり、ネコノミクスは盛り上がると断言した。

 「2018年中国ペット産業報告」によれば、中国では飼い主が昨年、ペットのために年平均で3969元を使ったという。犬と比べ、猫を飼うコストは低い。ペットを飼う家庭は5年間で43.9%増え、昨年末時点で、中国ではペットの猫は6700万匹に達した。(c)Xinhua News/AFPBB News