【3月5日 AFP】ブラジルで1日に開幕した「リオのカーニバル(Rio's Carnival)」。参加するサンバチームの今年の演目は、極右のジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)氏を大統領の座に就けた保守派の勢いに挑むように、女性や黒人、ブラジルの先住民に光を当てた内容になっている。

「エスコーラ(escola)」と呼ばれる各サンバチームは、サンバ専用スタジアム「サンボドロモ(Sambodrome)」のアリーナにあるレーン、通称「マルケス・ジ・サプカイ通り(Marques de Sapucai Avenue)」をパレードするが、昨年に引き続き、リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)市当局からは予算制限を課されている。

 2016年のパレードコンテストで優勝した由緒あるサンバチーム「マンゲイラ(Mangueira)」が今年選んだ歌には、「歴史書で語られない歴史」を広める意図が込められている。マンゲイラの芸術監督、レアンドロ・ビエイラ(Leandro Vieira)氏は、その理由をこう説明した。

「従来の物語が伝えるのは、英雄や(歴史上の)出来事、記念碑、名のある道や通り、そして勝者。先住民や黒人、ムラート(白人と黒人の混血)や貧しい人々が銅像にされることはなかった。彼らの名前は教科書には出てこない」

 マンゲイラの今年の演目は、17世紀の黒人の女性戦士ダンダラ(Dandara)や、反乱を起こした先住民カリリ(Cariri)など、世間ではあまり知られていない存在を取り上げる一方で、現在のブラジルに当たる地域をポルトガルが植民地化したのは、新大陸発見ではなく侵略だと訴える内容にもなっている。

「非常に重要な人々の名前をよみがえらせることで、私たちは黒人の勇気を示したいと思っている。黒人女性たちを中心に、先住民の名前も取り上げ、真の先駆者は誰だったのか、ブラジルの歴史を築いた人々は誰なのかを示したい」と語るのは、マンゲイラで打楽器隊の「女王」(ソロダンサー)の役目を務めるイブリン・バストス(Evelyn Bastos)さんだ。

 マンゲイラは、昨年3月に銃撃されて亡くなった人権派の黒人女性市議、マリエル・フランコ(Marielle Franco)氏に対する追悼の意も今年のサンバパレードで表現する。ファベーラ(Favela)と呼ばれるリオの貧民街出身だったフランコ氏は、地元民の人権を守るために積極的に発言し、尊敬を集めていた。