【3月3日 AFP】フィリピン上下院が可決した子どもへの体罰を禁止する法案について、ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領が拒否権を発動したことが分かった。フィリピン大統領府が2月28日、明らかにした。

 法案は、親や教師が仕置きやしつけ目的で子どもに体罰、精神的な暴力、人格をおとしめる行為を加えることを禁ずる内容。常習者に対しては、怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」のカウンセリング受診を義務付けている。

 だがドゥテルテ氏は2月28日に出した声明の中で、「欧米諸国で、子どもに対するあらゆる種類の体罰を時代遅れなしつけとみなす傾向が高まっていることは認識している」とした上で、「わが国はこうした流れにあらがうべきだと、私は固く信じている」と法案に署名しない理由を説明。親は子に体罰を与えても構わないとの見解を示した。

 ドゥテルテ氏は、現在は15歳となっている刑事責任年齢についても引き下げを主張している。自身が進める「麻薬撲滅戦争」へのてこ入れが狙いとみられるが、これまでに密売容疑者とされた5000人以上が殺害されている。(c)AFP