【3月8日 Xinhua News】中国安徽省合肥市の中国科学技術大学は1日、視覚神経生物学と革新的ナノテクノロジーを結合させ、裸眼で赤外線を感知し、赤外線画像を認識する能力を哺乳動物に持たせることに初めて成功したと明らかにした。動物が「裸眼で暗いところが見える」能力を持ったことになる。この技術は動物に並外れた視覚能力を与えるだけでなく、異なる吸収・発光スペクトルを持つナノ材料を開発することで、赤色色覚障害など視覚感知スペクトル異常に関連する疾患の回復に役立つ可能性もある。

 研究は中国科学技術大学生命科学・医学部の薛天(Xue Tian)教授の研究チームと米マサチューセッツ大学メディカル・スクールの韓綱(Han Gang)教授のチームが協力して実施。成果は2月28日に国際学術誌「セル」の電子版に掲載された。

 主要研究メンバーの一人、中国科学技術大学の鮑進(Bao Jin)教授は「哺乳動物は700ナノメートル以上の赤外線を見ることができないが、赤外線は自然界に広く存在しており、その検知や感知は、人類が『暗視』能力などの可視スペクトルの範囲を超えた情報を得るのに役立つ」と説明。光電変換や光電子増倍技術に基づいた赤外線暗視装置が発明されているが、重すぎたり、限られた電池でしか電源が供給されなかったり、強い光にさらされる恐れがあったり、可視光環境と両立できなかったりする欠点があると述べた。

 それらの問題を解決し、裸眼で電源を必要とせずに赤外線が見られる視覚拡張技術を発展させるため、研究チームは赤外線を吸収して可視光を発するアップコンバージョン・ナノ材料を動物の網膜に注入し、赤外線が感知できるようにする実験を行った。鮑氏は、研究スタッフが特殊なナノ粒子をマウスの目に注入すると、そのナノ粒子が感光細胞にしっかりと付着し、超小型赤外線センサーとして機能することができたと説明。赤外線光を網膜に照射すると、ナノ粒子は比較的長い赤外線の波長をとらえ、可視光範囲内に短い波長を発するという。

 実験では、ナノ粒子を注入したマウスは赤外線を感知する能力を得ただけでなく、複雑な赤外線画像も見分けられることが明らかになった。赤外線が見られるようになったが、可視光の感知は影響を受けず、可視光と赤外線画像を同時に見ることができるようになった。鮑氏は、この技術によって動物が視覚で感知できるスペクトルが効果的に広がり、裸眼で電源を必要としない赤外線画像の視覚感知を初めて実現したと強調。自然界が動物に与えた視覚感知の物理的限界を突破したと述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News