【3月3日 AFP】カナダのウィニペグ(Winnipeg)では、毎年冬になると市内を流れる2本の川が凍結して世界有数の長さを誇る屋外アイススケートリンクになり、スケート靴を履いた大勢の人たちが楽しいひとときを過ごす。1月には気温が氷点下40度まで下がる厳しい寒さの中、屋外でのスケートは憂鬱(ゆううつ)なこの季節の気分転換になっている。
 
 このスケートリンク「レッドリバー・ミューチュアル・トレイル(The Red River Mutual Trail)」は、レッド川(Red River)とアッシニボイン川(Assiniboine River)が交わる市内中心部のフォークス(Forks)がスタート地点で、コースには世界各地の建築家が設計した休憩所が点在している。かつては先住民が集まる場所だったフォークスだが、現在はマーケットや飲食店、美術館や博物館などがある。

 国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録されているオタワのリドー運河(Rideau Canal)にもスケート場が設けられ、長さは7.8キロと世界最長だと称している。ただ、レッドリバー・トレイルは利用者がピークに達する2月に8.45キロまで伸び、リドー運河のスケート場を上回る。

 2018~19年シーズンのオープン以来、レッドリバー・トレイルには歩行者や自転車に乗った人々、スケート靴を履いた人々が大勢詰めかけている。朝や夕方のラッシュアワーに交通渋滞を避けて通勤ルートとして使う人もいる。

 また、レッドリバー・トレイルはウィニペグの文化の中心にもなっており、屋外で体を動かしつつユニークな芸術作品風の休憩所を楽しめるようにすることで、部屋にこもって映画を立て続けに見て過ごしがちな人々を引き寄せている。休憩所の設計はコンペティションで選ばれ、今回は約60か国から応募があった220点を超える作品のうち、15点前後の作品が氷上に展示されている。

 凍結した川の上には季節限定の飲食店も毎年開設され、何か月も前に予約を取ることができたごくわずかな客にグルメな料理が提供されている。(c)AFP