【3月2日 AFP】米政府は1日、ベネズエラへの支援物資搬入を妨害したとしてベネズエラ軍の幹部6人への経済制裁を発表した。一方、ロシア政府は同日、ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領を通じて新たに支援物資を送る考えを表明。困窮するベネズエラへの支援をめぐり米ロの対立がいっそう鮮明になった。

 前日の28日には国連安全保障理事会(UN Security Council)で、ベネズエラでの新たな大統領選挙実施と人道支援物資の配布への妨害停止を求める欧米の決議案に、ロシアと中国が拒否権を行使していた。

 先週末、コメや豆など食料178トンのベネズエラ国内への搬入をベネズエラ軍が妨害し、衝突によって4人が死亡した。マドゥロ大統領は、こうした支援物資の搬入を米国主導による侵略の口実と見なしている。

 米政府が経済制裁を科すと発表した6人には、ベネズエラの国家警備隊の司令官も含まれている。この経済制裁によって、米国内の資産が凍結され、米国との金融取引も処罰の対象となる。さらに米国務省は、ベネズエラ当局者とその家族計49人のビザを無効にしたことも明らかにした。

 一方、モスクワでベネズエラのデルシ・ロドリゲス(Delcy Rodriguez)副大統領と会談したロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は、ロシアはベネズエラに支援する小麦を増量するとともに医療用品も提供するとして、手始めに7.5トンの医療用品を送ると明言した。

 ラブロフ外相は、国際社会の圧力でベネズエラに軍事介入する機会を狙っている「ワシントンの激しやすい人々の頭が冷える」ことを望むと述べ、米政府はある「東欧の国」から小火器、迫撃弾の発射装置、携帯式対空ミサイルを購入し、「ベネズエラの近く」に配備する計画を進めていると主張した。(c)AFP/Shaun TANDON, with Victoria Loguinova-Yakovleva in Moscow