【3月2日 AFP】化学兵器禁止機関(OPCW)は1日、シリア首都ダマスカス近郊の東グータ(Eastern Ghouta)地区ドゥーマ(Douma)で昨年実施され、多数の死者を出した攻撃で、塩素ガスが使用されたとする最終報告を発表した。米国が主導する西側諸国は、この攻撃はシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権によるものだとし、軍事施設を標的とする報復空爆を行っていた。

 報告は、昨年4月のドゥーマの住宅地区に対する攻撃で有毒ガスを含むシリンダー2本が投下されたとしているが、アサド政権を支援するロシアは直ちにこの内容を否定。攻撃はシリアの市民ボランティアでつくる救助隊「ホワイト・ヘルメット(White Helmets)」が「演出」したものだと主張した。

 今回の報告は、昨年7月に出された中間報告の内容を確認するもの。中間報告は地元筋の発言を引用し、攻撃で少なくとも43人の死者が出たとしていた。

 一方、OPCWは、紛争当事者の一部が主張していたドゥーマでの神経ガス使用については、証拠が見つからなかったとしている。

 OPCWは昨年6月、シリアで2014年以降に行われたあらゆる化学攻撃の責任の所在を調査する権限を得たが、調査団の権限は化学兵器使用の有無を明らかにすることだったとし、今回の報告では加害者を示していない。(c)AFP/Danny KEMP