【2月28日 AFP】国連(UN)の専門機関「国際民間航空機関(ICAO)」がサイバー攻撃を受けた事実を数か月にわたって隠蔽(いんぺい)し、航空業界全体にマルウエア(悪意のあるソフトウエア)を拡散させていたことが明らかになった。カナダの仏語公共放送ラジオ・カナダ(Radio-Canada)が27日、報じた。

 カナダ・モントリオールに本部を置くICAOは2016年11月、「同機関史上最も深刻なサイバー攻撃」を受けた。

 ラジオ・カナダが入手した内部文書によって、遅れや妨害、過失、スタッフによる隠蔽工作といった対応不備があったことが明らかになった。サイバー攻撃を仕掛けたのは、中国人ハッカー集団とみられている。

 最初に懸念を提起したのは、米航空防衛機器大手ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)。ICAOのサーバーが乗っ取られ、政府や航空会社のコンピューターにマルウエアを拡散させていると注意を喚起した。しかし、ICAOの最高技術責任者は事態を軽視し続けた。

 2017年に実施された独立調査では、その1年前にICAOのアンチウイルスソフトが攻撃に使われたマルウエアを特定していたにもかかわらず、ウイルス除去が行われていなかったとの結論が出された。

 一方、ICAOはAFPに対し、ラジオ・カナダの報道は「多くの誤った解釈や結論」を含んでおり、同機関のサーバーで見つかったマルウエアの重大性を「ひどく誇張」していると主張した。(c)AFP