【2月28日 AFP】インドとパキスタンの対立激化を受け、両国が領有権を争うカシミール(Kashmir)地方では、住民数千人が自宅から避難する事態となっている。

 カシミールではインドとパキスタンの支配地域を隔てる「実効支配線」越しの激しい砲撃が続いており、パキスタン当局によると26日にはインド側からの砲撃で4人が死亡。27日には多くの住民が避難した。両国はその後、互いに相手の軍用機を撃墜したと主張し、全面衝突に発展する恐れが高まっている。

 インドとパキスタンの間では、威嚇行為がたびたび衝突に発展し、死者を出してきた。今回の衝突でカシミール住民は戦闘機の空中戦を目の当たりにし、砲撃の恐怖に見舞われている。

 当局者らによると、パキスタン側のコトリ(Kotli)とジェラム渓谷(Jhelum Valley)の両地区にある実効支配線近くでは、少なくとも2000人が自宅から避難し、当局はすべての公立学校を閉鎖した。他の地区でも多数が避難しており、かばんなどを抱えて道路を移動する男女や子どもの姿が見られた。中には、牛をひいたり、他の動物を運んだりする人もいた。

 インド側でも、プーンチ(Poonch)などが激しい砲撃に見舞われた。けが人の情報はないが、当局は村の住民らに避難壕(ごう)の準備を呼び掛けた。主要都市ジャム(Jammu)近くでは、衝突の激化を恐れ、雪解けによって浸水した避難壕からバケツで水をかき出す住民もいた。(c)AFP