■分かっている事実

 ユーチューブを調べたところ、拡散したこれら二つの動画は、2014年に撮影されたパキスタンの独立記念日を祝う航空ショーの様子だったことが分かった。

 パキスタン空軍は2014年8月12日、翌13日夜にデモ飛行を行うと発表している。その中で、「パキスタン空軍はイスラマバードで行われる独立記念日の式典中に、二つの編隊が儀礼飛行を行う。編隊を組むF16戦闘機4機、ミラージュ(Mirage)戦闘機4機はすでにリハーサルを行った。この慶事に合わせ、13日から14日の夜間の儀礼飛行中に照明弾も発射する」と説明されていた。

 拡散された二つの動画は、戦闘機が夜間儀礼飛行中に照明弾を発射した様子を捉えたものだったのだ。

 誤解を招いた投稿に使われた一つ目の動画は、元々2014年8月14日にユーチューブに投稿されたもので、「パキスタン空軍F16ブロック52プラスによる照明弾の発射」というタイトルが付けられている。二つ目の動画も、同じデモ飛行を別の角度から撮影したものだった。

■導き出せる結論

 インドとパキスタンが領有権を争うカシミール(Kashmir)地方では、14日にインド側で自爆攻撃があり、インドの治安要員が40人以上死亡した。事件では、パキスタンを拠点とする過激派組織が犯行声明を出したとされる。

 この直後、両国のソーシャルメディアは偽動画や偽写真で溢れかえった。

 インド軍は、自爆攻撃に対する報復として、26日に過激派の拠点を空爆したと主張。パキスタン軍はこれを否定し、インド軍機が領空侵犯したため、パキスタン軍機が緊急発進(スクランブル)で対応したとしており、また、逃げるインド軍機から、パキスタン領内に「搭載物」が落とされたが無害だったとも話している。(c)AFP