【3月8日 東方新報】中国で最近、AIを活用した防犯サービスの企業で大規模なデータ流出事件が発生したと報道されている。流出した250万人分超の情報と、流出の疑いがある680万件のデータには、個人の身分情報、顔認証画像や画像撮影場所などの情報が含まれているという。

 微博(ウェイボー、Weibo)安全応急対応センターやその他のプラットフォームの情報によると、データを流出させた企業名は、深セン市(Shenzhen)の深網視界科技(SenseNets)。2015年設立した企業で、筆頭株主は上場会社である「東方網力科技(NetPosa Technologies)」でビデオ監視システムを主な業務とする企業だ。顔認証システム技術は「深網視界」の主な研究開発の中核であり、各地の公安部門とのAI防犯に関する広範な協力関係がベースとなっている。

 データ流出事件が報じられた後、深網視界の公式サイトはアクセスできなくなった。記者が同社に電話を入れ事件について確認すると、調査中との回答だった。

 公開情報によると、深網視界は東方網力とAI分野のユニコーン企業とされる商湯科技集団(SenseTime)が共同出資で設立した会社で、「AI+防犯」市場を狙っている。役割分担としては「商湯科技」と香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)の研究チームがプログラムサポートを行い、「東方網力」が防犯分野の製品開発を担当するとしている。

 AIが日々発展している現在、顔認証技術は徐々に人々の生活の中に入り込んできている。顔認証による玄関の出入りの管理のほか、直接取り締まりを行うシステムが始動しており、信号無視の違反も顔認証で行うなど、スマホやアプリの中で顔認証機能を実現している。この技術が乱用されるようなことがあれば、個人情報の保護にとって不利ではないかと憂慮する人も少なくない。(c)東方新報/AFPBB News