【2月26日 AFP】(更新)豪裁判所は26日、ローマ法王庁(バチカン)で3番目の高位聖職者であるジョージ・ペル(George Pell)枢機卿(77)に対し、児童への性的虐待の罪で有罪評決が下されたと明らかにした。

 ペル枢機卿は、1990年代に豪メルボルンの聖パトリック大聖堂(Saint Patrick's Cathedral)の聖具室で聖歌隊に所属していた12歳と13歳の少年2人に性的虐待を行ったとして、昨年12月の陪審裁判で有罪評決が下されていた。だが昨年5月にメルボルンの裁判所が広範囲に及ぶ報道禁止命令を発令していたため、メディアは評決結果はおろか陪審裁判開催の事実さえも報じることができなかった。報道禁止命令は26日に解除された。

 児童への性的虐待で有罪が確定したカトリック司祭としては、ペル枢機卿が最高位となるが、ペル枢機卿には長期の禁錮刑が下される可能性が高く、今後の聖職者としての地位は不透明だ。

■宗教保守派の「英雄」から転落

 1941年生まれのペル枢機卿は、メルボルンの西方約100キロにあるバララット(Ballarat)で育った。高校時代はオーストラリアンフットボールの有望選手だったが、プロチームからの誘いを蹴って聖職者として生きる道を選び、イタリア・ローマなどの大学で学んだ後、1966年にバララット教区の司祭に任命された。

 その後、故ヨハネ・パウロ2世(John Paul II)からの命によりメルボルンとシドニーで司祭を務めた。2003年に枢機卿に任命され、2014年にはフランシスコ法王(Pope Francis)から財務局長官(財務相)に抜てきされた。

 母国オーストラリアでは安楽死や同性婚に強硬姿勢を示し、宗教保守派から英雄視されていた。保守派のトニー・アボット(Tony Abbott)前首相もペル枢機卿を「オーストラリア史上、例を見ない最高の聖職者の一人だ」と称賛していた。(c)AFP/Daniel DE CARTERET