■「不愉快なほど鈍感」

 しかし映画評論家のリチャード・ブロディー(Richard Brody)氏は米誌ニューヨーカー(New Yorker)への寄稿で、『グリーンブック』を「不愉快なほど鈍感」と批判。アカデミー賞は同作を作品賞に選んだことで、2016、17年にソーシャルメディアで広がった「#OscarsSoWhite(オスカーは真っ白)」との批判を受けた後も有意義な変化が一切なかったことを示したと論じた。

 英紙ガーディアン(Guardian)に映画論評を寄せるピーター・ブラッドショー(Peter Bradshaw)氏も、「善意による白と黒のバランス」はうわべだけの取り繕いという印象を生んだと指摘。また英ニュースサイトのインディペンデント(Independent)も、アカデミー賞の「執拗(しつよう)で異様なほどの凡庸さ」を嘆いた。

 その一方で、批判に対する批判も集まった。一部のコメンテーターからは、映画業界は観客の怒りを買うことを恐れ、真の改革よりも表面的なポリティカルコレクトネス(政治的妥当性)にこだわるあまり、硬直状態に陥っているとの声が上がった。

 またオンラインマガジン「クイレット(Quillette)」を創刊した編集者のクレア・リーマン(Claire Lehmann)氏はツイッター(Twitter)投稿で「いくら意識を高めようとも、十分とは絶対に認められない」と嘆いた。(c)AFP