【2月25日 MEE】住民の半数以上が職にあぶれているパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)。ヌサイラート(Nussairat)難民キャンプ出身のパレスチナ人アーティスト、アフメド・フメイド(Ahmed Hmeid)さん(29)は、生計を立てるためには何か新しいことを始めなくてはいけないと考えていたという。

 地元でグラフィティを描く日々を送っていたフメイドさんが、インターネットを通じて出会ったのが「オリガミ」だった。やがてそれは、フメイドさんの生活の糧を得るすべになっていく。フメイドさんはミドルイースト・アイ(MEE)のインタビューで、日本に由来するこの紙の芸術との運命的な出会いについて語ってくれた。

「アート、その中でもドローイングは、俺がずっと情熱を注いできたものです。前は毎日何時間もインスタグラム(Instagram)を眺めて、斬新で独創的なスタイルのグラフィティをチェックしていました」

「その日もグラフィティのアカウントをいくつか見て回っていたんですが、ふと1枚の写真に目が留まったんです。それは、紙をきれいに折って形を作った作品でした。その頃はまだ、このアートが何と呼ばれているのか知らなかったんで、とりあえずその写真を保存したんですが、気づけばいつもその写真のことを考えていました」

 この未知のアートに魅せられたフメイドさんは、その正体を突き止めようと手当たり次第に調べ始めたという。

「最初は、似たような写真ですら見つけられませんでした。名前が分からなかったんで、検索しようにもできなかったんです。それで、友だちにインスタの写真を見せたら、それはオリガミというもので、元々は日本の芸術だって教えてくれたんです。そこから俺の旅は始まるんです」

「オリガミについて調べたり、作り方を学んだりするのだけで、5か月かかりました。それからさらに1年間、ひたすら紙を折り続け、ようやくマスターしたと言えるレベルに達しました」

「オリガミアーティストってのは普通、紙を使ってある形を作るんですが、俺はだいたい本のページを折って、名前とかシンボルとかの形を作っています。これは言うほど簡単じゃなくて、費用もかさむんだけど、独特な形ができるからすごく気に入ってもらえるんです」