【2月24日 AFP】南米ベネズエラで23日、野党主導でリスクの高い人道支援物資搬入が行われ、ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が命じた国境封鎖を固守しようとする治安部隊との衝突となり、大混乱に陥った。

 コロンビアとの国境沿いにあるベネズエラ西部のウレーニャ(Urena)とその近くのサンアントニオデルタチラ(San Antonio del Tachira)では夜明けから、ベネズエラの国家警備隊(National Guard)が催涙ガスやゴム弾を使用し、デモ隊を食い止めた。

 ウレーニャの町中では騒動のさなか銃声も聞こえた。コロンビアの民間防衛当局によると、主要越境ルートとなっている橋で起きた衝突では、少なくとも285人が負傷した。ほとんどは支援物資を手に国境を越えようとしたベネズエラ人で、軍によって押し戻された。この事態を受けてコロンビア当局は支援物資を積んだトラックを国境付近から引き揚げさせた。

 しかし、最も重大な事件が起きたのは、そこから数百キロ離れたベネズエラ東部のブラジル国境に近いサンタエレナデウアイレン(Santa Elena de Uairen)の越境地点だ。人権団体フォロ・ペナル(Foro Penal)によると、支援物資の搬入を阻止しようとした軍が、物資を受け取ろうと集まってきた市民に発砲。14歳の少年1人を含む2人が死亡、31人が負傷した。

 ウレーニャとコロンビアのククタ(Cucuta)を結ぶ国境の橋では、支援物資を積んだトラック2台がバリケードを突破したが、マドゥロ大統領派に停止させられて放火された。空に煙が上った。このほか、支援物資を積んでブラジルからベネズエラに向かっていたトラック2台が、ベネズエラ軍に数時間にわたって国境越えを阻止された末、ブラジル北部の都市パカライマ(Pacaraima)に戻った。

 国家警備隊の一部の隊員は、混乱に乗じて持ち場を放棄し、コロンビアに入った。コロンビアの移民当局によると、23日夜までに、国家警備隊員少なくとも60人が脱走してきたという。暫定大統領として50以上の国から承認を受けているベネズエラの野党指導者フアン・グアイド(Juan Guaido)氏は、脱走した国家警備隊員を歓迎し、反逆者として扱うことはないと約束した。

 マドゥロ大統領は、支援物資の搬入はショーであり米国の侵略の口実だとして受け入れを拒否している。さらに、コロンビアがグアイド氏を支持したことに反発して同国との断交を表明し、ベネズエラ駐在のコロンビア外交官に24時間以内の国外退去を求めた。(c)AFP/Esteban Rojas with Rodrigo Almoncid in Cucuta