【2月23日 AFP】ベネズエラとの国境沿いにあるコロンビアのククタ(Cucuta)で22日、人道支援を呼び掛けるチャリティーコンサート「Venezuela Aid Live(ベネズエラ支援ライブ)」が開催され、数千人の観客が集まった。人道支援物資をベネズエラに運び込もうとしている野党指導者フアン・グアイド(Juan Guaido)氏は、ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が命じた国境封鎖を公然と無視して、コンサート会場に予告なしで現れた。

 ベネズエラ全土で厳しい食糧不足をめぐって緊張が高まっており、人道支援問題はマドゥロ大統領と暫定大統領として50か国から承認を受けているグアイド氏の間で続く権力闘争の焦点になっている。支援物資はマドゥロ氏の命令により、コロンビア、ブラジル、ベネズエラ北方沖のオランダ領の島キュラソー(Curacao)で山積みにされている。

 コンサートはグアイド氏の掲げる人道支援救済を支援する英事業家のリチャード・ブランソン(Richard Branson)氏が主催した。集まった観客は、封鎖された国境が目の前に見えるククタの外れで炎天下の中、コンサートの開幕を待ちながら、「自由」や「政府は倒れる」と繰り返し叫んだ。

 会場に姿を見せたグアイド氏は、出国禁止命令を破ってコロンビア領内に入る上で軍の協力があったと述べてマドゥロ大統領に打撃を与えた。軍を離反した軍人がグアイド氏側に付く動きがある中、ベネズエラで強い影響力を持つ軍からの支持はマドゥロ大統領にとって極めて重大な意味を持っている。

 ブランソン氏が「この難局を突破しなければならない。人道危機を終わらせよう」と観客に呼び掛けてコンサートが始まり、まず感傷的な歌声で人気のベネズエラの歌手、ホセ・ルイス・ロドリゲス(Jose Luis Rodriguez)氏が登場した。

 ブランソン氏は、インターネットを通じた募金により今後60日間で1億ドル(約110億円)を集めたいと語った。コンサートは、ユーチューブ(YouTube)などネット上で生配信され、募金先がテロップで表示された。

 ベネズエラ国旗の黄色、青、赤の3色が入った帽子をかぶってコンサートに訪れた32歳の女性は、「このコンサートは素晴らしい助けになっている。こうした試みは、私たちの目を開かせ、ベネズエラ政府に圧力をかけるために必要だから」と話した。

 マドゥロ氏側もこれに対抗して、数時間後に数百メートル離れたベネズエラのウレーニャ(Urena)でベネズエラやキューバの歌手が出演するコンサートを開催したが、規模はブランソン氏のコンサートよりも明らかに小さかった。出演者らは、2500人ほどの観客の前で、「#Trump Hands off Venezuela <トランプ(米大統領)はベネズエラに干渉するな>」の文字が書かれた、鮮やかな色の巨大な背景幕を背にステージに立った。

 マドゥロ大統領自身はこのコンサートに姿を見せなかったが、このコンサートは24日まで続けると述べた。(c)AFP/ Rodrigo Almonacid with Esteban Rojas in Urena