【3月24日 AFP】ミャンマー・シャン(Shan)州ニャウンシェ(Nyaung Shwe)にある有名な湖、インレー湖(Inle Lake)は、湖水に浮かぶ畑や漁師らの風流な片足漕法で観光客を魅了してきた。だが湖の水位は年々低下しており、悲惨な結果を回避するには早急な対応が必要だと専門家らは警鐘を鳴らしている。

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 ここには湖底に杭を打ってつくられた住居に住む少数民族インダーの村があり、その村を訪れる多くの観光客が小さな木製のボートに乗って湖を行き交っている。年間約20万人の外国人観光客、約100万人の国内観光客が訪れる。

 中には熱気球に乗り、眼下に広がる風景を観賞する観光客もいる。湖面に腐食した植物を何層にも広げて作った畑では、農家の人々がトマトの栽培を行っている。漁師たちは、巨大なオールを片足で操る独特の漕法でのんびり船を進めている。

 だが、地域の開発がインレー湖に与える影響について調査している研究者のマルタン・ミシャロン(Martin Michalon)氏は、のどかに見えるこうした田園風景にも「暗い側面」があると話す。農家の人々が作物の収穫量を増やそうと努力するにつれて、農薬や肥料が徐々に湖を汚染するようになっている。

 さらにインレー湖では、警戒すべきスピードで水位の低下が進んでいる。「1世紀前は、雨期には水深が6メートルあったが、今は3メートルを超えることは決してない」とミシャロン氏は話す。

 主な要因と考えられるのが、土地開発のための森林伐採や焼き畑農業だ。これらは、周囲の丘の斜面から湖に土砂や灰が流れ込む原因となる。また、かんがいのための湖水の水抜きや観光客の増加も、水位低下の一因となっている可能性がある。

 もし湖の環境が悪化すれば、この地域の基幹産業である観光が打撃を受ける恐れもある。今後数年以内にインレー湖がこうした「二重苦」に直面する事態を避けるためには、早急に対応策を講じる必要があるとミシャロン氏は呼び掛けている。(c)AFP/Ye Aung THU