■徴兵制を耐えなければならない最後の世代?

 韓国のNGO「韓国軍事人権センター(Centre for Military Human Rights Korea)」のイム・テフン(Lim Tae-hoon)所長は、朝鮮戦争とその影響が今も韓国軍の抑圧的な文化に色濃く残っていると語る。

 イム氏はAFPの取材に対し、「朝鮮戦争が始まったのは日曜日で、北朝鮮の戦車が38度線を越えた時、多くの韓国軍兵士は基地を離れていた。その結果は惨たんたるものとなった」と述べ、これが韓国軍兵士が常時基地詰めとなっている理由だと指摘した。

 全兵士の25%以上が同時に休暇を取ってはならないという規則はすなわち、新規入隊者同士が長期間一緒に過ごさなければならないことを意味し、これがいじめの原因にもなっている。

 また、韓国軍では1953年以降、6万人あまりの新規入隊者が自殺や火器類の事故、医療過誤などで死亡したとみられているが、戦地で死んだ人はこの中に一人もいない。

 学生のソン・チュンソ(Song Jun-seo)さん(18)は今年か来年に入隊予定だが、自分の兵役終了後に徴兵制が廃止されるようなことがもしあれば「何らかの賠償」を要求したいと語る。

「(兵役終了後に徴兵制が廃止されたら)とても怒りを感じるだろう。徴兵制を耐えなければならない最後の世代になるなんてまっぴらだ」

 だが、慶南大学校(Kyungnam University)のキム・ドンヨプ(Kim Dong-yup)氏は、徴兵制廃止について語るのは時期尚早だと語る。キム氏によると、たとえ北朝鮮との和解が進んだとしても、徴兵制から志願制への移行にはおそらく長い時間がかかるという。

 キム氏は北朝鮮以外の周辺国や災害も潜在的な脅威だと指摘し、「朝鮮半島への安全保障上の脅威は北朝鮮だけではない」と強調した。(c)AFP/Claire LEE