【2月20日 AFP】シリアでイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の壊滅が近づく中、IS戦闘員の家族の処遇が各国で課題となり始めている。ロシアは既に、ロシア人のIS構成員の子どもの受け入れを組織的に行っており、この問題における先駆者と見なされている。

 ISが樹立を宣言した「カリフ制国家」に行った女性や、大半が現地生まれのその子どもたちの帰国の可能性は、ロシアでも議論となっているが、一部の治安当局者は彼らを潜在的脅威と見なしている。

 2月上旬には、4~13歳の子ども27人が、イラクからモスクワに空路で帰国した。ISに加わったロシア人の大部分は、イスラム教徒が大多数を占めるロシア南部北カフカス(North Caucasus)連邦管区の出身だ。帰国した子どもたちは、北カフカスで暮らす親戚に引き渡されることになっている。

 また、昨年12月下旬には、IS構成員の子ども30人が帰国している。

 IS構成員の家族の帰国においては、チェチェン(Chechnya)共和国の指導者ラムザン・カディロフ(Ramzan Kadyrov)首長の顧問を務めるヘダ・サラトバ(Kheda Saratova)氏が中心的役割を果たしているとされている。サラトバ氏は「子どもたちは学校や幼稚園に通っている。ボランティアが対応に当たり、子どもたちが経験したことや洗脳を受けたことについて説明している」と語った。

 IS家族の人数に関するロシア当局の発表は、矛盾することも多い。サラトバ氏は、約200人の子どもがロシアに帰国したが、いまだ1400人近くがイラクやシリアに残っていると話す。

 ロシア政府の保護を長年受け、広い人脈を持つことで知られるカディロフ氏は2017年、IS戦闘員の子どもを帰国させる取り組みを開始した。その対外交渉は、シリアのアレッポ(Aleppo)出身のチェチェン議員ジヤド・サブサビ(Ziyad Sabsabi)氏が主に担っている。