【2月25日 CNS】家族で祝いの酒を飲み、子どもたちは争ってお年玉をもらうのが、中国の新年の恒例行事だ。子どもにとっては、お年玉は一番うれしいものだ。お年玉の起源は漢の時代までさかのぼり、もとは邪気を払い平安を祈るものだった。生活水準の向上に伴って、今ではお年玉も多様化している。

 潘柳妹(Pan Liumei)さん(71)は毎年、子どもにお年玉をあげている。昨年は800元(約1万3000円)、今年は1000元(約1万6000円)と、毎年金額が上がっている。潘さんは昔、両親が大みそかに赤い紙に包んだ2角(約3円)を枕の下に入れてくれたのを覚えている。あの頃の2角は大金だった。

 宋建国(Song Jianguo)さんは、昔に両親からもらった貨幣の最小単位の「分」(元の100分の1)のお年玉を、ずっと使わずに今でも大切に持っている。幼いころは1959年から61年にかけて起きた自然災害で満足に食事も食べられず、お年玉どころではなかった。その後、少し環境が改善し、両親は数分のお年玉をくれるようになった。

 王巧鳳(Wang Qiaofeng)さん(83)は、「昔のお年玉は気軽にもらえるものではなかった。一家のあるじや目上の人に拝礼し、前年の成果や反省を報告し、訓示を受けるのが習慣だった。あの頃のお年玉は銅銭が一般的だったが、私の両親は銀貨をくれたので、みなからうらやましがられたよ」と話す。

 王さんの孫娘で80年代生まれの張楽(Zhang Le)さんにとって、お年玉は春節(旧正月、Lunar New Year)期間の娯楽だ。科学技術の進歩で、お年玉のもらい方もさまざまになった。張さんが子どもにあげるお年玉はスマホ経由だ。張さんは「私は子どものお年玉を預かったりしない。お年玉を通じて、子どもに金銭感覚を身につけさせる」と話す。

 今や「紅包(Hongbao)」と称するお年玉は社会的娯楽になっている。支付宝(アリペイ、Alipay)が行った2019年5億元(約81億4000万円)新年紅包キャンペーンには、世界200か国以上から4億5000万人を超える応募があり、前年比40%増加した。

 お年玉は、昔の「分」から今や1000元を超える金額まで、拝礼して頂くものから雨あられのように配られる紅包まで、金額や形式は変化したが、お年玉の持つ儀式的感覚や祝福、期待の気持ちは今でも変わってはいない。(c)CNS/JCM/AFPBB News